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トム・クルーズ主演『アウトロー』 ~「ジャック・リーチャー」への華麗なる転身~

      2016/11/01


皆さん、こんにちは!
当ブログにおきまして、私が鑑賞し感銘を受けた映画を中心に、映画評論を定期的に記事をアップしています。

出来る限り、物語のネタバレが無いような形式にし、なおかつ作品の魅力や鑑賞ポイントを記載するようにしています。少しでも、皆さんの記事の内容が参考になれば幸いです。

 

本日は、トム・クルーズ主演の映画『アウトロー』についての映画評論です。

ペンシルベニア州ピッツバーグ、男が運転する白いバンがアレゲニー川沿いにあるPNCパークの対岸の立体駐車場に入り、駐車料金を払った後スナイパーライフルで無差別に人々を狙撃。

その犯人を追うために、元米軍憲兵隊捜査官で、現在は流れ者となっている(トム・クルーズ演じる)ジャック・リーチャーが地方検事の娘ヘレンとともに奮闘するというのが、大まかな作品のあらすじです。

 

皆さんにとって、トム・クルーズさんのイメージとは、どのようなものでしょうか?

いわゆる典型的な映画スターであると私は思います。初期の作品である『トップガン』、そして世界的に大ヒットを記録している『ミッション・インポッシブル』シリーズのように、ルックス、見事な肉体美、アクションシーンを駆使し、「(観客から)カッコ良い!」と素直に思わせる数少ない大物スターでしょう。

しかし、その反面、アカデミー賞主演男優賞をはじめ、主要な映画賞には無縁でもあります。「演技派スター」とは、言い難いでしょう。むしろ製作者と観客のニーズに常に応え続ける俳優だと思われます。トム・クルーズさんが主演という触れ込みだけで、映画は安定的にヒットするのですから、重宝される俳優です。

 

演技派俳優というイメージよりも、「STARというイメージは拭いきれないでしょう。しかし、この『アウトロー』でのトム・クルーズさんの演技は、これまでのイメージとは一味違います。

 

このジャック・リーチャーというキャラクターは、在米イギリス人推理小説家リー・チャイルドによる小説シリーズの主人公です。

 

【ジャック・リーチャーとは?】

●「13年にわたって米陸軍憲兵隊で犯罪捜査官として働いていたが、陸軍を除隊してから流れ者となり、アメリカを放浪している。」

●「ストイックで寡黙、孤独を好む性格。怒りをあらわにすることは殆どない。正義のためなら、手段を選ばず悪を罰する。しかし、良心の呵責といった感情は持ち合わせていない。」

このような人物像として、解説されています。

 

この作品でのトム・クルーズさんは、ジャック・リーチャーが常に抱えている孤独感(心の闇)を巧みに演じています。上記の人物設定が、表現を助けてくれている感もあります。

 

~俳優自身が持ちうる孤独感が、役の孤独感と一体となったときに、リアルな演技が生まれる~
これは、演技の基本でもあります。しかし、高度なテクニックでもあります。自分が人生で経験した強い孤独感を、まず分析しないといけません。

そして、その孤独感をどのように役と結びつけるかどうか・・・。 ここがです。
映画『アウトロー』のおけるトム・クルーズさんの演技は、その点で成功していると言えるでしょう。

場面・場面で、主人公の人間性が滲み出ています。
この「滲み出ている感」が見受けられるとき、「役の心情との一体化」が成立に向かいます。

『これまでのイメージとは一味違う』と述べましたが、このことが理由です。
ただ単純に、「カッコ良いな」という印象は拭い去られます。

 

「この男は、一体どういう人生を歩んでいたのか?」という興味を観客に与えます。

これまでトム・クルーズさんが出演してきた「アクション系の作品」において、(主人公の)孤独の表現度合いが、もっとも強い作品の一つに挙げられると私は思います。

 

そして、もう一点、興味深いのは、このジャック・リーチャーという人物は、原作では2メートル近い身長と100キロ以上の体重の巨漢だということです。

トム・クルーズさんは、このイメージとは、まったく正反対です。しかし、これによって、原作の登場人物の忠実性に縛られることなく、客観的に新しくキャラクターを創り上げることが出来たのではないでしょうか?

 

まさに、ジャック・リーチャー役によって、トム・クルーズさんは、華麗なまでに、演技派への転身の足掛かり築いたと私は思います。

11月11日(金曜日)に、続編『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』が日本で公開されます。
シリーズ化されたのは、まぎれもなく、トム・クルーズさんが奏でた主人公の魅力です。

 

映画『アウトロー』にて、トム・クルーズさんの新境地を、より多くの方々に堪能していただければ、幸いです!

 

では、皆さん、本日も、貴重なる人生のステージをお過ごしください!

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