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ロバート・デ・ニーロ主演『ミッドナイト・ラン』~父と娘の珠玉のシーン~

   


皆さん、こんにちは!

7月23日、当ブログにおきまして『演技を追求して良かったこととは?~私の視点にて~』というタイトルで記事を書きました。その記事の中で、演技技術の一つ「メソードアクティング」というテクニックについて、紹介させていただきました。

この技術を修得すると、「(映画や舞台で)俳優が演じる役が、あたかも実在の人物であり、目の前に存在している」と観客を信じ込ませることが可能であり、現在、世界的に『スタンダード(標準)』のスタイルであることを記載しました。

 

この記事をアップしたあと、当ブログを(ブログサークルにて)フォローしていただいている方から、一つの質問がありました。
「(トニー・マサキさんにとって)メソードアクティングの典型的な映画のシーンは、どれに当たりますか?」という内容のクエッスチョンでした。

 

たとえばアカデミー賞の主演賞・助演賞を受賞されている俳優の方々の演技は、どの演技も『メソードアクティングの系譜』に沿っていると思われます。
その中で、「典型的」と問われると、どのシーンが思い出されるか?

私自身、かなり考えました。かなりの数の映画を観てきましたが、ふと思い出されるシーンがありました。タイトルにあるように、1988年製作、ロバート・デ・ニーロ主演作品『ミッドナイト・ラン』の中での一場面です。

 

逃亡した被告人を公判までに連れ戻す稼業(=賞金稼ぎ)をしている元警察官ジャック・ウォルシュ。この映画は、その元警察官を演じるロバート・デ・ニーロさんを軸とするロードムービーです。

映画の中盤に、『別れた妻を訪問し、お金を借りるシーン』があります。
「期日までに、捕まえた被告人をロサンゼルスに届けないと大金が手に入らない。切羽詰まった状況の中で、別れた妻に頼み込む。ところが離婚した経緯に関して話題にもなり、玄関口で言い合いになってしまう・・・。その最中、当時妻との間に生まれたが玄関口に出てくる。当時まだ幼かった娘は、すっかり成長し学生に成っていた・・・。」

 

この場面でのロバート・デ・ニーロさんの演技は、忘れられない印象を残しています。数年ぶりに再会したにも関わらず、自分は元妻にお金を借りにきている始末。しかも言い合いをして気まずい状況。その最中に娘と相対した父としての立場・・・。

成長した娘に対する愛情と、それに反しての『申し分けなさ』、『不甲斐ない気持ち』が、(ロバート・デ・ニーロさんの)沈黙の表情に全て表現されています。
シカゴの警察官時代に、悪質な賄賂を受け取ることを拒否し仲間に裏切られたジャック。娘は、当時の父が『人としての誠実な在り方』を選択したことを理解しています。

 

ジャックに対する娘の心情と、父親としての揺れ動く心境。その微妙な二人の関係性が、ほんの数分に凝縮されています。このシーンこそ、まさに、「メソードアクティングの成せる業」だと思われます。俳優自身が、主人公としての立場でリアルに思考しているからこそ生まれる『実在感』を観客に印象づける演技。

実際に、撮影現場では監督やスタッフなど多くの関係者が目の前に立っています。
その状況下で、まるで現実に起きているかのような印象をもたらすリアリティー。ロバート・デ・ニーロさんという「現代の名優」の演技力の深さが、このシーンから醸し出されているでしょう。

 

俳優自身が、役の置かれた状況そのままに思考し振る舞うことを体現している演技。
数多く候補がある中で、『メソード演技が成立している典型的なシーン』として挙げてみました。あの松田優作さんも、このシーンに非常に感銘を受けたとされています。演技上の『真実』に敏感な俳優の方々には、このシーンでのロバート・デ・ニーロさんの演技の凄さが解るのでしょう。

皆さん、ぜひ機会がありましたら、このシーンを鑑賞してみてください。映画的にも、素晴らしい作品です!

 

では、今日も人生の素晴らしいステージをお過ごしください!

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