1990年代の秀作映画『スモーク』が、人々の心に残り続けるのは、なぜか?
2017/10/23
皆さん、こんにちは!!
今日は、私の心に今だに残り続けている一本の映画についての考察です。
昨年7月に、以下のような記事をアップしました。
『スモーク』という映画をご存知でしょうか?
ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート主演のヒューマンドラマです。
ニューヨークのブルックリンにて煙草屋を営んでいるオーギー・レンという男の周りに集まった人々との交流を描いた映画です。
ミニシアターで上演され、ロングランを記録。
ミニシアターブームを加速させた映画の一つとしても評価されるでしょう。
過去、私の知人の多くに、この映画を推奨してきました。その全ての人々が、「この映画を観て、本当に良かった!」と言ってくれています。
私の周囲の人々だけではなく、この映画が好きな人は、日本においても、諸外国においても、かなり多いと推測されます。
『いつまでも長く愛される映画』
その典型例であると私は、確信しています。
では、その愛される理由とは、なんでしょうか?
まず、この映画の特筆すべき点は、
煙草屋の主人オーギー・レンが、毎日同じ時間に、同じ場所で、カメラのシャッターを切るという点が描かれているということです。
これは、この映画そのもののテーマを示しているものと言えるでしょう。
同じ時間に、同じ場所で、愛用のカメラで写真を撮る。
毎日、同じ場所でも、人の行き交い、天候など、365日、全て違います。
これが、本当に奥深い。
人生の縮図を表しているかのようです。
皆さん、こうした主人公のマニアックな習慣って、共感できませんか?
その人にしか理解できない、プライベートな領域の習慣です。
つまり、その人の人生のルーティンです。
「この場所に居ると、気分が落ち着く。
このことをすると、ストレスから解放される。
なぜか、これをすることに、こだわりがある。」
他人からすれば、「なぜ、そのようなことをするの?」と言われるかも知れないルーティンです。
本作で映し出されるオーギー・レンのルーティン。
「カメラ」そのものが、個人的なレベルでの趣味、行いのため、主人公のマニアックな態度を一層際立たせているでしょう。
そうしたマニアックな行動こそ、この映画の印象に強く影響しているものと思います。
つまり、この映画そのものが、「(観客にとって)真心込めて『自分の物』として愛したい逸品である」と、良い意味で錯覚させてくれているのではないでしょうか?
●知る人ぞ知る1990年代の名作
●コアな映画マニアがだけが知っている秀作
オーギー・レン×カメラ撮影=観客×映画『スモーク』
抽象的な表現かもしれませんが、このような式が成り立っているように思います。
オーギー・レンによるマニアックな行動に魅きつけられて、映画そのものをマニアックにさせている・・・。
マニアックという言葉には、「凝りに凝っている」「こだわっている」という意味が含まているそうです。
映画ファンにとっての、こだわりの映画。
観客の心と映画の本質が、ピッタリとマッチした数少ない映画なのではないでしょうか?
「なぜ、彼は、同じ場所で、同じ時間に、長い期間、カメラ撮影をしているのか?」
このことについて考えるだけでも、奥が深いです。
観客のマニアックな心をくすぐる作品。
本作が、いつまでも心に残る理由は、このあたりにあると私は考えております!
皆さん、ぜひ、ご鑑賞ください!!