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悲しみの感情を初めて知った日(俳優技術の観点からの考察)

      2017/10/18


皆さん、こんにちは!

『子供が生まれたら、犬を飼いなさい。
子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となり
子供が幼少期の時、子供の良き遊び相手となり
子供が少年期の時、子供の良き理解者となり
そして子供が青年期になった時、
自らの死をもって子供に命の尊さを教えてくれる。』

 

皆さん、このイギリスのことわざをご存知でしょうか?人間は、ペットから愛情や生命について学ぶことが沢山あるという教えを、このことわざで伝えています。

自分が飼っているペットは、まるで自分の子供のような感覚になります。また、良き友人のような錯覚に陥るでしょう。

動物というのは、その時、その場所での、その瞬間に感じたことをそのままに行動を起こします。まさに、純粋無垢の境地!食べたいときに食べて、吠えたりときに吠える。自らの赴くままに行動します。特に、警戒心が強い人にとっては、そのOPENさが羨ましいことですし、なかなか真似できませんよね(笑)

 

私の俳優仲間の一人に、人に心を開けるのが苦手ですが、犬や猫を観たら無邪気に心を開く人が居ました。つまり人には警戒心が強いのですが、動物に対しては本来の愛情表現が出来る性格です。

その気持ちは解ります。動物は、純粋無垢な故、信頼を寄せることが出来るためです。不安定な気持ちを払拭し自らの心を癒してくれる存在となりえるからです。ただ、俳優としては、その性格は問題です。

なぜなら、人を演じる仕事だからです。人に対してOPENできない方は、役に対して心を開けるかというと、難しいものがあります。

 

私には、ペットについて、一つの思い出があります。タイトルにもある通り、その思い出に関して俳優技術の観点からの考察をこれから書きたいと覆います。

あれはまだ私が小学校3年生の時でした。私は、一羽のインコを飼っていました。

なんと虹色のインコです!このインコが私の元に届くまで、紆余曲折がありました。虹色のインコを飼う前に、別のインコを飼っていのですが、ペットショップで購入するや否や数日後に病気で死んでしまいました。

親に連れられて、再びペットショップへ。インコの急な死を伝えたら、ペットショップの店長さんが、「申しわけないです。」と謝ってきました。そして、「(店内の)どのインコでも良いので好きなのを選んでください!」と言われました。

この店長さんは人柄の良い方で、まだ幼かった私にも丁寧に応対してくれました。店内の大きな籠の中には、数十匹のインコが居ましたが、ひときわ目立つインコを発見しました。

それが虹色のインコです。このインコが欲しいと指をさすと、店長さんは、気さくに私に譲ってくれました。

(いまにして思えば、他のインコよりも相当値段の高いインコだったのではないでしょうか?)

 

このように紆余曲折あって手に入ったこと、そして自分の欲しいインコであったことが重なり、思い入れを強く持ったことを覚えています。

ところが、1年も経たないうちに、虹色のインコは自然死してしまいました。
そこで、キチンと土に埋めてあげようということで、日が暮れて親とともに家の近くの野原に向かいました。

 

虹色のインコをそっと自分の手に持ち目的地へ。その間、手のぬくもりで、インコの亡骸も温かくなっていたことを今でも覚えています。
当時の私は、野原に向かうまで、意外に冷静でした。

そして、野原に到着して小さなスコップで私は穴を掘り、インコをその穴にそっと置いたときです!
急に、とめどもなく涙を流しました。それまで冷静そのものだった幼い私は、人目をはばからず泣き崩れました。悲しくて、悲しくてしょうがなかったです。

 

俳優技術の観点から述べると、『感情』とは、そういうものです。自分ではコントロールできません。ふと思わぬ形でやってくれるのです。役を演じるうえで、「ここで泣きたい!」と思って気持ちを振り絞っても、悲しみの感情は遠ざかります。

そうではなく、「きっと悲しみの感情は訪れる!」と、ただ信じれば自然発生的に感情は沸いてきます。

つまり「構えることなく、心を無防備にしておく必要性」があります。役が持つ悲しみの感情を表現するには、自分で感情を出そうと方向づけるのではなく、ただ身を任せることが出来るかどうかです。(このように、『感情』を真に扱うためには、高度な技術が要求されるのです。)

 

当時の私は、心が無防備だったからこそ、突然のように涙が止まらないくらいの悲しみが訪れたのでしょう。そして、この瞬間、「悲しみとは、このようなものなのか!」と生まれて初めて教わった気がします。

愛すべきペットの死。まだ幼かった私に命の尊さを虹色のインコが教えてくれました。個人的にも、俳優技術の観点からも、とても印象深い思い出の一つです。

 

では、皆さん、今日も良き人生のステージお過ごしください!

 

 

 - 演技・演劇